2017年6月15日(木)
      情報に対する想像力と未来に対する想像力

 周りを見渡せる野外に出て、今日の課題を説明します。教室でA4版の紙に直径5cmの丸い穴をくりぬいたものを持参していますね。好きな方向を向いてその小窓から見える景色だけを言葉にかえて今いる場所をリポートしてごらんと投げかけ、参加者が口々に描写を始めます。
 次ぎにリポートを聞いた子ども達に質問します。個々の言葉からどんな場所を思い浮かべましたか。・・・・・・・・。あれ、現にいるこの場所の光景が思いかんでこないぞ。誰も嘘はレポートしていないのに。インターネットで見ている個々の情報もこんな風に小窓から見ている景色かもしれない。一つだけを見て、これが全てだとすぐ思い込まないようにしてほしいと思う。
 情報は事実かな、意見、印象かな。他の見え方もないかな。隠れているものはないかなともっと窓を拡げて広い景色を想像できる力を身につけてほしい。
 もう一つ、未来に対する想像力をみがくことも必要になっています。目先の良さそうなことばかり選んでいると、未来像が想像しにくくなってしまいます。ただ20年後の自分を想像してみましょうといきなり言っても、子ども達は取りかかりが見つけられないと思います。社会生活の変化が急で今の仕事の半分近くはなくなり、新しい分野が生まれているのではないでしょうか。想像力のスイッチを入れるには、クラス全員で未来にタイムスリップして架空同窓会をやってみると面白いと思います。まずは一人ひとりパネルに大人になった今やっていることを書き込みましょうと投げかける。パネルを見せながら近況報告では20年ぶりの級友一人ひとりの選択を全て尊重し、認め合い、お互い質問し合うことで想像はリアルになっていきます。進行役の私が用意した質問は、その間苦しかった時は誰が助けてくれたの?とっさに想像して答えることで友だちへの感謝を語り、未来は一人では作れないことに気づいてく。未来図が盛り上がった時はそんな望み通りにならなかったらどうする?とあえて質問をします。挫折や失敗に出会った時、じゃあどうしようかと頭を切り換える力をつけておくことも大切です。よい想像は子どもを前から引っ張って目標や心の元気を与えます。悪い想像は後ろから支えて対策や心の準備をすることにつながるのです。


   2017年6月16日(金)
      何をめざして政治をおこなっているのだろう

 農作物が野生動物に荒らされ、収穫ができなくなっている。困ってしまった農家は、どうすればいいか考えている。農家の廃業、土地利用の放棄など。現状をどう認識するのがこれからの日本の姿を考えていくのに役立つのだろうか。
 本来外来生物は日本に住んでいなかったものであるのに、なぜこんなに多くなってしまったのか。政治の責任を追求してもいいと思われる規制緩和策のせいではないでしょうか。しっかり検疫体制が維持できていればよかったのではあるが、業界の要望を忖度した政治、貿易額の増加推進、グローバル化策などの結果、誰も責任をとらない規制緩和策が実施されてきたのです。結果、農家は泣き寝入りの野生動物の被害に泣かされているのです。
 捕獲従事者証取得のための研修会に参加して、県や市の担当者から話を聞くことができました。外来生物法では農林水産業への被害防止をうたい、鳥獣保護管理法では捕獲が原則禁止という法律があるとのことでした。矛盾した法律をつくっていながら抜け道も作られています。防除実施計画作成により許可を受けずに捕獲ができると説明されました。
 原則禁止なら被害に遭った農家へは国家賠償法が適用されてもいいと考えるのですがあなたはどう思いますか。
 農家が自衛手段を執ろうとしても、すぐには実施できないようにしています。動物愛護団体といわれる方々からの圧力があるせいなのか、被害に遭っている農家は見捨て、熊や鹿、タヌキなど里山に出てくる野生動物さえ捕まえてもリリースするように指導されています。リリースを求めるのであれば、被害農家が生活できるように被害弁償を義務づけることが必要であると私は考えます。
                                                                                                                                           

風の館からの便り(つれづれなるままに) No.358