2017年5月8日(月)
体験からの学び
佐治町に住んでいると自然に囲まれて生活できるので、これが当たり前の姿だと感じていたのだが、都会で生活した人が来町すると、当たり前の姿に何もかもにびっくりしています。田んぼからカエルが飛び出したり、川ではサギがくちばしで魚をくわえて食べていたり、山ではタヌキやキジが走り回っている姿を目にし、別世界を体験しているように話します。
しかしよく聞いていくと、自然とは触れ合ったが都会の暮らしと環境が違いすぎて、今回体験したことは日々の暮らしに活かせることはない。草刈りなどすることはないし、体験が役に立つとは思えないと感想を言った。
ここ数年、若い世代に様々な体験が足りていないと思うことがあります。特に自然や地域、異世代に関わる体験は、学校が意図的に企画・提供されない限り、そうした機会を持たずに成長していく若者がほとんどではないでしょうか。家族で共に参加し体験している人はごくわずかではないかと思います。
体験だけでは不十分です。日々の生活とあまりにもかけ離れているため、実感を伴っていないのです。そこで周りにいる大人が体験の中で気づきを引っ張り出し、それを深める場があることで体験が学びにつながっていくのです。田んぼで米を作らなくても米を食べる消費者としての視点を持つこと、道ばたに咲いているタンポポも外来種が多くなっている現状を話し合うことで、気づき、考え、周りを見ようとするきっかけになると思うのです。
若い親はスマートフォンを手放して生活することに不安を持っているようですが、一度ネット無しの生活をやってみるのもよい体験となると思うのです。写真を撮ってSNSにシェアしても自分が感動した気持ちは伝わらないのです。他の人に表面的に見せるためで、その場所の理解やそれをつくっている人の気持ちなどを伝えていないことに気づいてほしいのです。直接体験をし、生身の人たちとやりとりし、体と心で考えること、気づくこと、疑問を持ち不断に真理や本質に迫ること、情報を知識にするのは、様々な体験と理解を通してできることなのです。
2017年5月9日(火)
想像力のスイッチを入れよう
子ども達と話をしていると、自分の知らない情報に出会った時におもしろいと想像力を働かせ、興味を持ってくれると思いきや「興味ない」「聞きたくない」「関係ない」と逃げてしまう子どもがいます。どうすればこの子ども達に想像力のスイッチを入れることができるのでしょうか。「あの子何を考えているのか分かんない」「私の思い理解してもらえない」「けんかになるのが怖くて正直な意見が言えない」と言う子は少なくありません。
ならばはじめの第一歩を踏み出すきっかけを作ってやろうと近所を歩きながら矢継ぎ早に子ども達に質問を発してやってください。「この看板を掲げた瞬間それを見上げながら店の主人が思った言葉は?」「バスを待っているあの人はどこに何をしにいくところかな?」「この郵便ポストの中では、今どんな物語が配達されるのを待っているの?」「この大木は根元のどんな人間ドラマを見てきたのだろう?」
子ども達は初めは戸惑ってなかなか言葉が出なくてもいいのです。今まで考えたこともなかったので当たり前の反応です。しかしポツリと出てきた想像の答えに本気で面白がって反応してやると、しだいに安心してのってきます。相手の気持ちがリアルに想像できるようになってくるといじめる仲間には軽々しく加わらないようになっていくと思うのですがどうでしょうか。