2017年3月9日(木)
本を楽しむ境地
乳幼児検診などの時を利用して、赤ちゃんが生まれた若い夫婦に「赤ちゃん絵本」をお祝いに贈るようになってかなりの年月がたちます。また、読書推進の動きの中で、本を「読み聞かせ」する活動が盛んになり、子どもに絵本を読んであげるのをよいこととして認識されるようになってきたのです。若い夫婦にも我が子へいろいろな場面で絵本を読んであげるように働きかけや取り組みがなされてきています。
その中にあって、「子どもに本を読んであげる」「読み聞かせる」といった考え方、言い方は、もしかしたら、本を楽しむ境地から子どもを遠ざけているのかもしれないという危惧を感じるのです。私は「子どもに」ではなく、つまり一方向ではなく「子どもと語る」双方向の関係で働きかけなければ、本当に一人ひとりの子どもが本を楽しむことにつながっていないと思うからなのです。
このような理念は、子どもと関わる多くの大人の間で共有するものにはなっていない現実があるのではないでしょうか。一冊の絵本を手に子どもと読み合う時、大人は何らかの「ためになる本」を選ぶ傾向にあります。しかし一人ひとりの子どもは読み取り方も目に見える世界も違っているので、読み合いながらそれぞれの子どもの内面とふれ合いながら進めることが大切だと思うのです。あくまでも双方向、子どもと絵本との出会いの場をつくるものであると考えるのです。
2017年3月10日(金)
食事のしぐさ
それぞれの家庭で食事のやり方はさまざまですが、子どもに何を教え、伝えているのか考えてみてください。好き嫌いを少なくし、栄養バランスを考えた食事をおいしくいただくことは教えられていると思いますが、いっしょに食事をしている人の食べるスピードや気持ちに合わせることを伝えているのでしょうか。
食事を楽しむのではなく、えさをかき込んでいるような自分勝手な食べ方をしている人を見ていると少し悲しくなります。食材の命、食材を育てる人、食材を売る人、食材を調理する人など、多くの人の力が一つになって私たちは食事ができているのです。だからこそ、感謝の心を持ち、食事のしぐさも考えていいのではないでしょうか。
昔から和食の作法は「箸に始まり、箸に終わる」と言われてきました。箸先はなるべく汚れないように使うことを心がけなさいという教えです。箸使いの心得として「箸先五分、長くて一寸」という教えは、箸先の汚れは1.5cmから長くて3cm以内に止めておくことが望ましいとされています。最近は年齢を問わず、誤った箸使いで食事をする人が増加していますが、正しい箸使いをすることにより、料理を一口分の適切な量に切ったり、裂いたり運んだりできるように正しい箸使いを子どもたちに伝えていきたいものです。楽しい食事のひとときを過ごすためにも正しい箸使いを子どもたちに示すことは大人の責任の一つだと思うのです。