風の館からの便り(つれづれなるままに) No.305
                                                                           

   2015年4月13日(月)
     少子高齢化の対策は農業回帰と職人回帰

 戦後の我が国は、工業製品を輸出し、産業が発展しました。そして、食料品の多くが海外から輸入に依存する国家体質になってきています。今後、輸出産業が衰退し円が下落すると食料の調達も思うに任せなくなることが心配されます。
 また、戦後都市部に働き手を奪われた農村部は、助成金を受けながらも現金収入を得るためにほとんどが兼業農家となっています。そして米あまりと米価の逆ざや、減反政策による農家の勤労意欲の低下と働き手の高齢化いう深刻な課題を生み出しています。農業従事者に未来の展望が持てないことは後継者問題を含めて重大な問題です。国の農業政策の見通しの甘さがもたらした結果といえます。
 国土と人口と資源をバランスよくコントロールして、人々が安心して暮らせる仕組みを回復していかなければなりません。今こそ中山間地域への投資を行い、これ以上の荒廃を進めてなりません。現在の教育制度は、総合職のサラリーマンを育成する教育システムと言ってもよいのではないでしょうか。専門の職業教育を行う場は本当に少なくなっています。12年間の義務教育で、職業教育は行われているのでしょうか。一部で職業体験の時間が設けられているだけのように思います。本当にこのままでよいのでしょうか。
 伝統技法や修理、修復の技術は、このままでは消滅してしまいます。電気屋さんにちょっとした修理を依頼しても、鳥取県ではできず、県外に修理を依頼しています。国土保全と技術伝承の視点で、政策を見直してほしいものです。


   2015年4月14日(火)
     子どもの育ち

 近年の子どもの育ちがおかしいと指摘する声が多く聞かれます。自らを律する心に関係する自制心や規範意識の不足はより危機的な状況にあるのではないでしょうか。
 乳児期に取り組むべき発達課題は「基本的信頼」の獲得です。基本的信頼は、自分への信頼と他人への信頼の二つの側面があると考えられています。自分への信頼は、自分の意思に基づいて自分の身体が動くという経験により、また、他人への信頼は、自分の意思や要求を表した時に身近な大人がそれに応えてくれるという経験により育まれていきます。
 愛着は、生後半年から1歳半くらいまでの間に形成される母親あるいは主となる養育者と子どもの間に形成される絆と言われる情緒的結びつきを言います。
 乳児期は、特定の大人との継続的な関わりにおいて、愛されること、大切にされることで情緒的な絆(愛着)が深まり、情緒が安定し、人への信頼感が育まれていきます。特にスキンシップは、大きな役割を果たすと言われます。乳児は、この信頼に満ちた母子関係を経験し、母親への信頼と愛情を土台にしながら、様々な人々への愛着の対象の輪を広げていきます。
 また、子どもにとって遊びは、身体機能の健全な発達のみならず、遊びを通して様々な実体験をし、自主性、社会性、創造性を育むと共に人と関わることで協調性や連帯意識なども養われていきます。