風の館からの便り(つれづれなるままに) No.284
                                                                           

   2014年7月30日(水)
     若者の仕事に対する意識の変化

 親が子どもにどんな言葉をかけながら仕事を見つけさせているのでしょうか。親の仕事をやりたいと考える子どもに、まずは育てたいものです。誇りを抱きながら仕事をやっていると自負しながら生活している親の姿を見せたいものです。いらいらし、不満を言いながら仕事をしているようでは、子どもは働くモデルを見失います。働く意欲や向上心を持ちながら生活し、自分の可能性を信じてチャレンジする子どもに育ってほしいと願っています。そのためにも、現在の社会環境や労働システムの改善がなされる方向に向かうのではなく、反対にいじめの再生産につながると予想される労働システムの規制緩和が進められようとしています。今、声を上げなければ子どもたちの将来を語る大人にはなれないのではないでしょうか。
 将来の人生設計ができる安心した労働環境をつくることが必要です。社会は会社のためにあるのではなく、会社は社会の一部なのです。



   2014年7月31日(木)
     誇りある仕事を

 日本には多くの職人がいました。ところが近年、その数が激減しています。建設現場でも、現場でものづくりに携わる働き手がいなくなってきたと心配されています。仕事があっても、現場監督や大工や左官といった職人たちの人材が不足しているので、入札に参加できない状況が生じています。
 原因の一つに、長い間の不況で多くの優秀な職人たちがリタイアしてしまいました。また一方で、彼らが誇りを持って働ける環境づくりを、政府がしてこなかったことも大きいと思います。どれだけ高い技術を持っていても、概して職人の収入は低く、若者が憧れる職業とはかけ離れていたのです。例えば、ドイツではマイスター制度によって、優れた能力を持つ技術者に称号を与え、彼らの社会的地位や誇りを守ってきました。
 ところが今の日本では、ホワイトカラーばかりになり、画一的な偏差値教育のシステムの中で個性を持たない勉強できる子どもが育てられています。
 日本人は元来、家族や地域社会を大切にする民族であったと思います。ものや自然を大切にする心を持ち、共同体の中でお互いに助け合いながら生きていたのです。地球にある資源・食料・エネルギーは枯渇への一途を突き進んでいる世界の中で、これからの日本を背負って立つ高い感性と判断力を持った若者を育てることが急がれます。経済の豊かさの中で、日本人の心は鈍化しています。現状に満足するあまり、生きるために考えることをやめたのではないかと心配する現状です。
 もっと視野を広げて、地球のことを考えてほしいと願っています。コンピュータ社会の弊害もあって、近頃の若者は、人とのコミュニケーションを避ける傾向にあるので、多くの人たちと触れあい交流できる機会を創りましょう。