ある子どもの言うことには、親は何でも理屈理屈で説明したがると言う。子どもがどんな気持ちになっているのか、親はどんな気持ちなのか、気持ちと気持ちのぶつかり合いがないと言う。子どもはもろに親に喜んでほしい、怒ってほしい、感情を受け止めてほしいと思う時に、親は理屈でしか理解しようとしないから子どもははがゆい思いをすることになるのです。
子どもが「わっ」と言った時に、すぐ「わっ」と返してもらえる。その「ああ、通じたんだ」という間がすごく大事なことだと。ところが「わっ」と言っても、一、二の間を置いてから今度は理屈で返されたら、感情で受け止めてほしいと思っている子にしたら調子が崩れてしまって、次のエネルギーが生まれてこないのです。
子育ての講演会などで「大人は、子どもへの毅然とした態度が必要なこと」は聞いて知っているつもりだし、自分は叱っているつもりでも子どもには伝わっていないのではないでしょうか。結局、親が自分の生活に具合が悪いことにはヤイヤイ言うけれど、自分の感情とかセンスを正直に表現して叱るということをしたこなかったのではないでしょうか。
共働きをしていると、仕事と家事で手いっぱい。あとは、極力時間を切り詰めることになります。したがって子どものやるのを待ってはおられないのです。すべて親が手をかけ、代行することになってしまいます。その結果、自分で何もしようとしない、食べない、脱がない、着ない、言われるまでじっと待っている子へと変貌してしまいます。これを改善するには、生活パターンを変え、自然の中に出かけ、子どもの動きにのんびりと根気強く付き合う、これ以外にはありません。