脳を発達させるうえで大事なことは、繰り返し刺激を与えて赤ちゃんの脳に情報を送り込み、神経回路を強化することです。脳の場所によって回路のできる時期が異なるので、それぞれにふさわしい時期がありますが、総じていえば、赤ちゃんの脳のあらゆる部分で活発にシナプスがつくられるのは歩き始めるころ、つまり1歳前後までがピーク。赤ちゃんのこの時期がいちばんのチャンスといえます。このチャンスをのがさずに、この時期までにいろいろなものを見せたり、音を聞かせたり、さわらせたり、体を動かしたりして、あらゆる刺激を同時にたくさん与えたいものです。そうすれば、脳のあらゆる場所が活発に働いて脳が発達します。
人間が本来もっている、そして将来役に立つであろうさまざまな能力を、ちょっと手を貸してあげてバランスよく伸ばすことが必要なのです。私たちは日常生活でさまざまな問題に直面しますが、そんなとき、自分がぶつかった問題の本質を見抜き、どうすればその問題を解決できるかを考え、そして行動を起こします。頭がいいというのは、こんなとき、自分のとるべき行動を正しく判断して問題をじょうずに解決できる人のことといっていいでしょう。
赤ちゃんの脳は、胎児期から2本足で歩き始める1歳ごろまでに、目覚ましい勢いで発達します。この時期こそ赤ちゃんの能力を引き出し、伸ばすための最もたいせつな期間と言えるのです。子育てはシーソーゲームのようで、刺激と反応が寄せては返す波のように繰り返されて、赤ちゃんは成長していきます。赤ちゃんに刺激を与えると反応があり、この反応はまた、お母さんへの刺激となって、次なる新しい刺激を赤ちゃんに与えるというふうに、かたい絆で結ばれているわけです。お母さんは、ちょうど脳の目覚しい発達と歩を同じくして、ふさわしい刺激を与えてあげることがたいせつです。子育ては、保護者も共に成長していくことができるのです。お母さんの育て方しだいでは赤ちゃんの能力を無限に引き出すことができるのです。
いち早く電子化された辞書を例に考えてみると、検索の効率はよくなったが、スピードの効果があらわれるのは見出し語までで、多岐にわたる語義や用例の検索になると限られた画面ではスクロールでは追いつかなくなります。
紙の辞書を使った方が見開きページの中から必要な語義や用例までより速くたどり着けるのです。この効果は辞書を繰り返し引くことで促進され、ページの位置情報や書き込みによってより定着が促されます。本だとかさばるという理由で使用しないのは、本末転倒です。
あらゆる教科の学習は、本を読んで理解することが基本です。その過程で脳は創られていくのです。読書を通して言葉の意味を補う想像力が自然に高められるのです。想像力は行間を読む能力になるのです。また思索にひたることで自分の言葉で考える力が身についてきます。
1枚の資料を生徒にじっくりながめて分析させ、隠れた意味を予想し想像させることで、より思考力が高められます。また、作文や発表という出力を多くすることも創造力が鍛えられます。その基本が字を書く、ノートを取るという作業です。「紙の本」の読書を楽しむことこそが空想力を養う第一歩です。