風の館からの便り(つれづれなるままに) No.218
                                                                           
  2012年5月23日(水)
         
論語より(その23)

  「子曰 愛之能勿労乎、忠焉能勿誨乎」

 「しいわく、これをあいしてよくろうすることなからんや、ちゅうしてよくおしうることなからんや。」

 親子でいっしょに声に出して読んでみましょう。覚えたら、それから意味を説き聞かせていけばいいのです。手っ取り早くするのではなく、やり遂げる苦労の中で感覚が身についてくるのです。

 意味は「子どもを愛する親は、子どものためならどんな苦労をしたっていいと考えています。同じように、あなたたちも本当に友だちのことを大切に思うなら、根気強く相談にのったり助けたりしましょう。」
 一人はみんなのために、みんなは一人のためにという言葉があります。野球やサッカー、ラグビーなどの競技で、チームワークが大切だとよく使われる言葉です。一人だけが上手でも、それだけでは決して試合に勝つことはできません。みんなで助け合い、支え合ってそれぞれの役割を果たすことが勝利につながります。みんなで勝ちを分かち合えば、喜びが何倍にも膨らんで感じられるのです。  

   2012年5月24日(木)
    科学する心を

 小学校低学年では、桜の花を見たり、タンポポの花を観察したりします。これは見る習慣を身につけることで科学する心を育むきっかけをつくろうとしているのです。観察することが科学する出発点になるのです。大人は日常的にやっているのですが、あまり気に留めていません。例をあげて説明します。朝、子どもの顔を見る。赤い。熱があるかなと疑ってみる。手を当ててみる。熱いと思えば体温計を使って測る。高いので今日は保育園を休むとしようと決める。この一連の行動と判断が、科学することにつながっているのです。
 観察する意識があるかどうか、確認してみましょう。
1、ありの体はいくつに分かれているのでしょうか。
2、ありの足は何本、どこから生えているのでしょうか。
3、触角の位置はどこにあるのでしょうか。
 ありは自分の周りに日常的にいる動物です。でも、見かけているけれども見ていないのです。興味がなければ観察はできないのです。幼い子どもがいろいろな質問をしますが、科学的に大人が知りえていることを洪水のごとく知識として説明します。子どもは自分が見つけた疑問に大人もいっしょに感動してほしいだけなのですが、それがうまく受け止められないのです。
 子どもに考える習慣を身につけさせるには、どうすればいいのでしょうか。手品を見せることもそのきっかけになるかもしれません。不思議な現象を見ると、どうしてかなと考えるようになります。そして一つの結論を出すと、自分でやってみようとします。考えてやってみて、失敗して、また考え工夫して、その後何度かやって成功した時のにんまりした満足そうな顔をみせることがあります。知識として知らなくても、感じることができれば、子どもを自然の世界へ道案内ができるのです。

 科学する心は、「見て、触って、感じて」の体験が重要なのです。知識は必要ですが、一番最後でもいいのではないでしょうか。ものごとはすぐに分からなくてもよいのです。