中国五大学学生競技大会

教三 福間博子

 今年の五大は、七月十、十一日鳥取大学テニスコートにおいて行われた。昨年念願の”二部昇格”を果たし、今年のリーグ戦では団体男子二位、女子三位という好スタートをきっている。今年の五大で是非とも男女優勝して勢いをつけ、今シーズン鳥大の新風を巻き起こしたいところである。また、リーグに引き続き今年二度目の地元開催であり、多勢の先輩方に見守られながら、自分達が日々汗を流してきたコートで思いきり力を発揮できると、いう好条件にも恵まれた大会であった。

 一日目、男子の初戦は広大。一番手田中(陽)・原口は緊張の為か第一セットはミスが続くが、その後は持ち直し4-1とまず一勝をあげる。続く石井・田中(功)組、藪下・青木組も快勝。しかし四番手徳重・内田組、五番手塩見・阿部組は流れをつかみきれず敗れ、3-2の鳥大リードで二次戦へ進んだ。

 二次戦では田中・原口が1-3でマッチを握られながらも、接戦の末第五セットを取り返した後は、二人の安定したプレーで逆転。一方石井・田中組は前半一年生の元気な田中のポイントで波に乗るが、相手後衛の冷静なプレーに流れは変わり2-4と惜敗。

 三次戦、相手は大将ペアが残ったがこちらは二本柱が構えている。「きっとやってくれる」と信じて、ベンチから田中・原口組を送り出す。試合は初め相手のリードを許すが、第四セットからは田中の粘りと原口のボレーが冴える好試合で勝ち、五大一戦目は見事に勝ち星をあげた。

 続くは岡大戦。広大戦での勢いのまま一気に一勝をつかみたい。しかし藪下・青木組、田中・原口組が安定した試合で二勝をあげるものの、二番手石井・田中組はファイナルで惜敗。そして三番手坂本・内田組、四番手塩見・阿部組も力を出しきれず敗れ、2-3と岡大にリードを許し二次戦へ進む。

 二次戦では、鳥大の主将・副将として確実に力と自信をつけてきた藪下・青木組と田中・原口組が堂々たる試合で快勝。

 残るは岡大の大将奥川・小林組のみとなり、藪下・青木組が挑む。試合は3-1でマッチを握るものの、ファイナルヘ持ち込まれる。最終セットでは青木のボレー&スマッシュが光り勝利。結果、5-3で見事に五大二勝目をあげ、あとの山大戦と島大戦は翌日に残す事となった。

   この日はやはり藪下・青木組、田中・原口組の活躍がめざましく、安心して応援していられるような試合を重ねた。二日目は続く他の選手達の活躍に期待された。

 そして迎えた二日目、まずは山大戦である。一番手は、今大会安定したプレーで技術面のみでなく精神面においても成長を感じさせる田中と、のりのりの原口組で、4-0の快勝。しかし二番手塩見・阿部組が粘りを見せたが敗れ、三番手徳重・内田組も、徳重がよく走りつないだがあと一押しが足らずファイナルで惜敗。続く藪下・青木組もシーソーゲームの末ファイナルで敗れる。五番手石井・田中も流れをつかみきれず敗れ、1-4と苦しい状況で二次戦へと進んだ。

 残るは田中・原口組ただ一ペア、部員の心が一つとなり二人への大きな応援がコートに響く。その中、田中・原口組は一勝、また一勝と快進撃を続け、いよいよ大将山本・吉國組との最終戦となる。

 五本まわしを目前に、部員の興奮も最高潮。祈るような思いをのせ応援する声もいっそう力強く大きくなる。しかし、試合は原口のボレーが炸裂するなどの健闘むなしく、相手のムラの無いプレーの前に1-4で敗れた。部員の胸に悔しさが込み上げてくる。が、沈んでいても仕方ない、「次は必ず」と気持ちを切りかえて臨むは、お互い知りつくしているライバル島大戦である。

 一番手銭谷・竜子組は、初の団体戦に緊張しているのか銭谷のミスが目立ち1-3までリードされるが、ここから若さ爆発。銭谷の強気なプレーと竜子の要所を押さえるボレーで見事逆転し一勝をあげる。三番手徳重・内田組が1-4で敗れ、四番手塩見・阿部組も「いけるか。」と思わせたがファイナルで敗れたものの、二番手田中・原口組と五番手藪下・青木組が順調に勝ち上がり3-2のリードで二次戦へ。

 銭谷・竜子組は第ーセットで頑張りを見せるが、それ以降は何もさせてもらえずといった感もあり、0-4で祝部・三上組の前に敗れた。きっと一・二年後、鳥大を背負って立つであろう彼ら。この悔しさを忘れるな、君達はこれからだ!そして続く田中・原口組も、連続した試合の疲れか田中のミスが目立ち0-4で敗北。最後の砦、薮下・青木組に願いを託す。

 三次戦の相手は祝部・三上組、大将同士の決戦であり両大学の応援も更に熱くなる。まず優勢に試合を運んだのは藪下・青木組で、二人の息の合った攻撃と相手のミスで3-1のマッチを握る。しかし相手ペアが冷静さを取り戻し試合はファイナルヘ。ここでは藪下のシュートボールとパッシングが冴え見事勝利をあげた。この一勝はかなり大きくチームは盛り上がった。

 続く最終戦でも二人を信じて応援する部員とそれに応える籔下・青木、最高のムードの中、大崎・田中組に快勝。島大戦5-4で更なる一勝をあげ、団体成績は三勝一敗で二位!昨年の三位を上回った。

 迫熱した山大戦での一敗を思うと悔しさも込み上げてくるが、二部の鳥大、確実に成長している。今大会では、二本柱として戦力的にも精神的にもチームを支えた藪下・青木組と田中・原口組の存在が極立ったが、今後は三番手以降の選手の成長が求められる。

 一方、女子の五大。他大学に比ぺて倍以上の人数を誇る鳥大は、今大会への意気込みと明るさと勢いにあふれていた。五大で長年最下位を脱出できずにいた鳥大女子であったが、今年は何か起こりそうな…。

 第一戦目は、毎年苦手意識の消せない広大だが今年は一ペアのみのチームだ。何とか勝って、まず五大一勝をあげたいと挑んだ一番手佐藤・山口組。しかし一試合目である緊張と「広大」という二文字のプレッシャーが重くのしかかり、敢無く敗れる。続く須田・福間組もあと一本に苦しみ、デュースを取り逃がすこと3ゲーム。緊張とやる気の空回りでミスが目立ち1-4で、また同じく山本・花田組も0-4で敗れ、広大戦はO-3と見事に三本回しを決められるという、優勝を目標にしていた私達にとっては何とも苦い五大の始まりとなった。

 しかし落ち込んでる暇は無いぞ、次なる相手は春のリーグ戦で悔しい思いをした強敵山大で、私達にとって最も思い入れの強い対戦であった。「もう絶対悔いを残したくない。」広大戦での惨敗でむしろいらぬ力が抜けた鳥大は、いつも明るいムードで山大に挑む。

 一番手は完全にふっきれた佐藤・若さと無限の可能性を秘めた河崎のペアだ。初の団体戦である河崎は緊張のためか動きが硬く、佐藤のミスも続き0-3とリードされるが、河崎のポーチをきっかけに流れをつかんだ。なめらかに次々とナイスボレーを繰り出す河崎と、しっかりつなぐ佐藤は、試合をファイナルヘと持ち込むが惜しくも敗れ、続く山本・花田組も相手後衛のパワフルなボールに圧倒され惜敗。1-2の山大リードで二次戦へ進む。

 須田・福間組は相手後衛のくせの強いボールに苦しみ1-3とリードを許すが、第5セットから巻き返しにかかる。このセットで山大男子応援団がやってきて試合は更に加熱、そしてピリピリした山大サイドからヤジ…いやいやチェックが入り福間は遂にファウルをとられてしまう。その後、べースライン横からひざまずいた山大男の監視付きで試合は進むが、勢いづいた須田・福間組が逆転勝ちをおさめた。

 そして三次戦、二度目のファウルを山男に見つけられはしたが、相手後衛の重いシュートとロプに食いついてラリーをつなげる須田と、快調にポイントを決める福間に、盛り上がる鳥大の勢いはおさまらず快勝。山大戦は3-2で見事勝利、リーグの雪辱を果たした。

 第三戦は、春の練習試合などで交流も深まった岡大。一ペアのみだが、相手の日々の頑張りを知っている為、気を引き締めて向かう。

   一番手東中・平本にとっても、これが初の団体戦であった。内容的には積極的な試合であり、所々光るプレーを見せたが惜敗、二次戦で小坂・矢野組に挑むのは、山本さんに代わり森本・花田組である。

 森本は冬から続いていたスランプに苦しみ、リーグの団体にも入れず悔し涙をのんでいた。実際、それまでの試合も不安定で自信を無くしていた森本だが、五大の数週間前から何かが変わり始めていた。そして試合、森本のミスが続きO-3まで追いつめられるが、デュースの末二ゲームをもぎ取った森本・花田組は見事ファイナルまで巻き返す。結局接戦の末負けたものの、森本の復活はチームを沸かせ、良いムードのまま須田・福間組の最終戦へ。勢いにのった二人は快勝し、見事五大二勝目をおさめた。「もう一勝して二位をつかむ!」お調子者の我ら鳥大、次なる島大戦へと心を一つにする。

 一番手は、息の合った元気な佐藤・菅谷組。大学からテニスを始めた二人だが、今や頼もしいもので、菅谷のポーチも光り健闘したがW後衛の相手に苦しみ惜敗。

 二番手森本・花田組は、岡大戦で自信を取り戻した森本の素晴らしい集中力と、花田の要所で冴えるボレーで遂に勝利した。今大会初の、須田・福間組以外の一勝に全員が喜ぴ、森本の完全復活に涙する者もいた。

 「もういくしかない。」2-1のリードで二次戦に進み、森本・花田組が柳浦・樋野組に挑むが、W後衛に翻弄され苦戦の末敗れた。

 そして泣いても笑っても最終戦。「絶対勝ちたい。」全員が同じ思いで試合に向かう。須田・福間組もW後衛に苦戦を強いられるが、この試合で須田が素晴らしい粘りを見せる。やむを得ない事情で、今大会以降の休部と中選の不参加を決心していた須田は、五大に懸けていた。須田が必死に走って拾い、福間がスマッシュ&ポレーで攻める。ファイナルまでもつれ込んだ長く苦しい試合だったが、大きな応援の中須田・福間組が勝利、3-2で見事島大戦を制した。涙と感動を呼ぶ試合であった。

 五大の成績は、男子と同じく三勝一敗で二位。女子が五位を脱出したのは、おそらく十年ぶり位だという話であるから、今年の成績は歴史的な快挙といえるだろう。

 個人戦は、進行の都合上、女子のみ行われた。全体の参加12ペアのうち、半数の6ペアが鳥大であった。そして見事に岡大ペアを敗った一年のW前衛奈良・河崎組と、相手が棄権した東中・平本組が一回戦勝ち。森本・花田組がベスト4、須田・福間組が二位という好成績を残した。

 今年の五大は、一言で言うと「劇的」だった。日頃の練習の成果を発揮して戦った選手だけでなく、コートには立たなかったが、応援を通して彼らと共に戦った部員達の姿に、チームとしての鳥大の成長を実感した。今回の「男女二位」という結果は、そういった選手とその他の部員が、心を一つにして得た素晴らしいものであり、また何よりも素晴らしいのは、この五大をみんなで楽しめた事である。

 現役のみんな、君達にはどんどん強くなって欲しい。そしてそれ以上に、仲間と良いチームを作って欲しい。辛い事も楽しい事も共に経験し、共にテニスをしてきた仲間と味わう勝利の喜ぴは何物にも代えられないし、またそういうチームが本当の強いチームであるからだ。そうして気がつけば、目標にしていた結果がついてきているはずである。

 若者よ、「和」を大切にどんどん成長するんだ。そして来シーズンには、更なる鳥大旋風を巻き起こそう。