中国五大学学生競技大会

工三 恵良拓路

 第48回中国五大学学生競技大会ソフトテニスの部は七月十二目から十三日の二日間にわたって岡山県備前テニスセンターで行われた。今年、私は補講のため遅れ組となり、五大の楽しみのひとつである各大学の応援合戦を見ることができなかった。各大学の応援団による力強い応援、あれを見ると「五大に来た。」という気に改めてなってくる。その代わりと言ってはなんだが行きの急行砂丘号でゴトゴト揺られながら去年自ら参加した応援合戦を思い浮かべ五大を思った。

 岡山駅到着。小雨が降る中、手にした地図を見ながら宿探し。ほんの数百メートルの宿探し。「大丈夫なんですか。」「大丈夫だって。」……「こっちでいいの。」「こっちでいい。」と言葉が飛ぴ交う中コンビニで買い物をする部員発見。宿到着。「俺は正しかった。」

 寝床に就く。ルームメイトとテニスの話で盛りあがる。昨年の、そして一昨年の五大の試合が頭に浮かぷ。今まで団体で一勝もできなかった悔しさが蘇る。今年こそ勝つぞと心に誓う。

 大会初日。みんなの口から出る言葉は、「暑い」でなく、「降りそうだなあ。」という言葉だった。今にも降り出しそうな曇り空の中、大会初日団体戦は始まった。

 男子は初戦、昨年優勝の山大戦に向かう。一番手は勢いのある薮下・青木組。試合の流れをつかみC-0と快勝。このまま一気に一次戦を勝ち越したい。しかし、二番手水上・谷本、四番手中安・恵良組はファイナルで、そして五番手浜口・植組も、粘りを見せたが敗れ一次戦は2-3とリードされた。続く二次戦では、好調、薮下・青木組、柳本・品川組が立て続けに快勝。三次戦では相手は大将ペアのみとなった。「いけるぞ。」と心の中で何度も叫び、応援にも力がはいる。しかし、薮下・青木組、柳本・品川組ともにポイントでは競り合うが、要所でポイントされ惜敗。4-Dで団体初戦を勝ちで飾ることはできなかったが、今年の五大は今までとは違うと感じた。

 次は定期戦でおなじみの島大戦。ここでは中安・恵良組に代わり元気あふれる河盛・阿部組を投入し、一気に勝利を掴みにいく。一次戦、浜口・植組を筆頭に次々と勝利をおさめる。4-1とリードし二次戦へ突入。相手後衛の力強いシュートポールに苦しみながらもファイナルで浜口・植組が勝ち、私自身初めての団体一勝を手に入れた。しかしここで満足してはいけないと自分に言いきかせ、次の試合に備える。しかしここで雨が強くなり一時中断。弁当を食べ雨を見ていると「今目はこれで終わらないかな。」と消極的な気分になる。そんな時雨の中で乱打を楽しむ今年入部してきた若い二人を見ると、そんな気分を忘れさせてくれた。笑わせてもらいました。雨がやみ雲がなくなるとやっと五大らしい天気になってきた。

 さあ次は岡大戦だ。メンバーを元に戻し一次戦に臨む。しかし一次戦が終わってみると、思ってもみなかった結果となった。柳本・品川組を残し、四ペアが敗けてしまったのだ。みんなの顔がひきつって見えた。私も、自分の試合のふがいたさに肩を落とした。下を向いていると主将の植の声がする。「よし、みんな一生懸命応援をしよう。」と。確かに後は、柳本・品川組が勝つよう応援するだげだと思い、声を張り上げる。二面並行のため二分していた部員も一コートに集まり鳥大大応援団となる。その応援のかいもあり、二次戦、三次戦と快進撃を続けた。そして四次戦、相手はミスの少ない前衛、有本さんのペア。一番注意すべきペアではと心配したが、試合が始まると勝てる思った。どんなボールにもくらいつく柳本、野人の如き動きで次々とポレーを決める品川さん。敗けようがない。試合はC-1で勝利。五次戦でも相手の大将ペアを全く寄せつけずC-0で圧勝。結果柳本・品川組の五本回しによりD-4と逆転勝ちをおさめた。

 ここまでで団体選の成績は二勝一敗となり、もし次に勝てば優勝するかもというところまできた。最後の相手は広大である。昨年、一昨年と一次戦で全滅させられてきた相手である。悔しかった記憶が蘇ってきたのは私だげではなかったたろう。植のかけ声で気合いをいれなおす。一番手浜口・植組は、自分達の実力を出しきってC-0と圧勝。二番手水上・谷本組は緊張したためかミスが目立ち2-Cと敗れたが、続く三番手中安・恵良組、四番手薮下・青木組はC-0と勝利する。五番手柳本・品川組は、岡大戦での五試合で疲れたのか、0-Cと敗れた。3-2と数的優利に立ち、二次戦へ向かう。浜口・植組がC-2と勝ち、これに続けとぱかりに試合に臨んだ中安・恵良組であったが、残念ながら敗れる。残すは大将ペアのみとなり、応援にも力がこもったが、その後、薮下・青木組、浜口・植組も敗れ4-Dと勝ちをのがした。試合後の礼をすませ、円陣を組む。悔し涙を流す者もいたか、団体成績二勝二敗で三位、昨年、一昨年に比べれぱかなりの進歩であると思う。結果以上に試合内容が格別に良いものになったと思う。試合後、広大主将の高岡にも言われたが、サーブ、レシーブなどの基本がしっかりしてきたからだと思われる。それにしても団体戦を楽しむことができて本当によかった。

 一方、女子の方は、広大戦では牧田・平川組がC-0で一勝し、山大戦では、山本・福間組、牧田・吾郷組がそれぞれ一次戦を見事に勝ち抜いた。続く島大戦では、山本・福間組が一勝し、岡大戦では2-Bと敗れはしたものの野山・吾郷組が二本回しをやってのけた。団体戦の結果としては五位と昨年と変わらなかったが、明らかに昨年までと違ったように思えたのは私だけではないと思う。

 個人戦では男子は十ニペアが参加し、半数の六ペアが一回戦を突破した。女子は五ペアが参加し、野山・吾郷組が一回戦を勝ち、そして牧田・平川組はベスト四という好成績を残した。

 今年の五大は、正直なところとても楽しかった。試合に敗け悔し涙も流したが、今までの練習の成果が十分引き出せたと思うからである。男子も女子も合練だけでなく自主練に参加する傾向が増してきて、ポールと接している時間が長くなってきた成果が、やっと実り始めたのではと思う。今年のこの結果で満足している者は誰一人いないと思うが、皆、常に上を目指し、妥協することなくテニスに没頭してもらいたい。そして来年の五大では男女共「優勝」の二文字を手にしてもらいたいものである。