西日本大会遠征記

教三 加藤祐二

 五大学が、ここ鳥取で開催されて、一週間余り経った七月二十四日、西日会場の神鍋(兵庫県城崎郡)へと出発しました。

 神鍋高原は、あの軽井沢に次ぐ避暑地で、コート数はなんと百八面もあるのでした。こんな所へ来てテニスが出来るなんて、それだけで………。

 と思いかけて、ふと思い直す。 ― ここに来る前に立てた目標を、なんとか達成して帰るんだ。仮にも、先日の五大学で、アベック優勝した鳥取大学ではないか。

 と、一勝しか貢献してない私でさえも、どんどんと、明日の試合のことへと心は傾いていくのであった。

 団体戦初日、二回戦は昨年ランキング五位の天理大学、個人ランキングニ位の本荘・杉島組がいる天理大学でした。しかし、ここで私は思いました。 ― 昨年参加しなかった鳥大にとって、この位置は当然と言えば当然だが、せめて8本決めで当たりたかった。なんせ、一回戦(対大阪府立大)は、いとも簡単に勝ってしまったから。

 応援していた私から見て、その試合はすべて、あっけらかんと終ってしまいました。ポイント・ゲームは取ったものの、まるで赤子の首をひねるように負けてしまったようです。強いとわかっている相手に、胸を借りると言った試合には見えませんでした。自分からのボールで一本を取る場面が少なかったからでしょう。

 中には、ボレーやパスのボールがありましたが、単発で大勢が変わるようには、なかなかならないようでした。

 こう思ったのは私だけかも知れませんが、個人戦の一回戦、二回戦あたりの私がそうだったので、今、余計そう思うのでしょうか。

 しかし、三日目の個人戦において、Aチームの彼らは、それを意識してか、負けはしたものの、十二分に自分達のテニスをエンジョイしているようでした。そこには、目に見えない絶対的な力の差を感じざるを得ませんでしたが。

 こんな風に、九ゲームの中のどこかに糸口を見つけて、強い相手にも、少しでもヒヤリとさせるような試合が、いつでも、どんな相手と当っても、発揮できるようになれば、西日レベルまで強くなるのではと、遠征から帰った今感じています。

 最後に、団体戦二日目、試合のない我が鳥大は、あの神鍋高原テニスコートでの合練をしました。この鳥大軟庭部では、到底実現不可能な遠征合宿の雰囲気を味わうことができました。

 それともうひとつ、こうしていろいろなことを経験でき、またいろいろなことを考えられるのも、大会に参加して観戦して、初めてなせることで、無からは何も生まれてこないのです。そういう意味で、普段見ることの出来ないテニスの大会である西日に参加することは、たとえ強制であっても参加する価値は十分にあることも実感しました。