リーグ戦・優勝大会遠征記

農獣四年 多嘉良功

 昭和五八年度リーグ戦・優勝大会は岡山大学及び岡山県営コートに於いて五月二〇・二一日に行われました。

 男子は去年の入れ替え戦で私しめが三番目に出て近大呉工学部の五番手にファイナルで負けたために、今年もまた二部リーグで試合をするはめになっておりました。

 今年の鳥取大学の戦力からいって、二部リーグでの優勝はぽぼ確実視されていましたので、なまけ者の多嘉良君はリーグ戦では特に活躍することは控え、優勝大会に力を残しておこうと秘かに思ったのでありました。

 リーグ戦の結果はちなみに、VS福山大C-1(多嘉良・塚田組だけ負け)、VS徳山大D-O、VS広経大B-2、VS広工大C-1(多嘉良・塚田組だけ負け)で予定通り全勝で二部リーグ一位ということです。

 しかし、女子は善戦むなしく全敗で一部リーグ最下位に甘んじてしまいました。

 このようにして男女仲良く入れ替え戦出場をはたし、八月末の入れ替え戦に勝つことを堅く心に誓い合ったのでした。

 リーグ戦終了後コートを移動して優勝大会が行われました。

 多嘉良・塚田組と中川・大沢組は金網ごしに近大呉工学部VS山口大の試合を見ていました。ちょうど近大呉工学部は、星田・川上組が山口大学をまわそうかというところでした。(結局はまわせなかったのですが)中川君、ぽつりと一言。

「多嘉良さん、二回勝ったらここ(星田・川上組)とあたるんでしょ。」

「で、で、でも、その前に小笠原・原組とあたるし、そ、そ、それに一回戦でどうなるかわからんし……。」(弱気な多嘉良君)

「多嘉良さん、こことやってみたいですねェ。」(わがままな塚田君)

― 幕開け ―

 夕日も傾きかけた頃、この日の最終試合として、多嘉良・塚田組はコートに入りました。

「ここで負けたら明日は暇だなあ。」とふと思う多嘉良君。

「これに勝ったら明日は小笠原・原組とあたるのか。」とあくまでもわがままな塚田君。

 3ゲームを終わったところで1-2で負けていました。怒りを押えつつ語る塚田君。

「多嘉良さん、あせらんでええけ、普通にやれば勝てる相手だから、じっくりいきましょう。」というわけで、普通にやって小西・西原組(広島修道大学)にC-2で勝ち、せっかくの休日をふいにした多嘉良君でした。

 次の日、熊谷・永井組(鳥取大学)VS川西・蒲原組(岡山大学・第三シード)の試合での永井君の健闘ぶりと、ミーティングでの永井君の熱弁ぶりについての話しが盛り上がる中、私達の岡山大学コートにおける試合の幕が上がったのでした。

 この日の多嘉良君は、極度の緊張のためまともな球が打てず、ゆるいションベンロブだけの試合展開となっておりました。いわゆる一つのビビリテニス。ところが世の中何が功奏するのかわからないもので、小笠原・原組及び、星田・川上組は、この試合展開に戦意衷失したかのように、全く自分たちのぺースに乗れないまま共にC-2で多嘉良・塚田組に敗れ去ったのでした。

「多嘉良さん少しはまともな球を打って下さいよ。」あきれる塚田君。

「で、で、でも僕も必死なんですう。」といいつつも開き直る多嘉良君。(勝ったからいいじゃない、ねえ!)

 8がけでは広島修道大学、藤尾・小森に今度はまともにテニスをしてC-2で勝ち、そしてついに4がけへと進出したのでした。

 4がけの相手は、三年になって着実に力をつけてきた山口大学の花房・澄川組でした。この時点で鳥大で残っていたのは、男子は僕らだけで女子は藤原・中尾組が頑張っておりました。

 女子の4がけは男子に先だって行なわれ、期待の藤原・中尾組は惜しくも広文短の面出・小田原組に、2-Cで敗れました。

 鳥取大学の大応援の中で、僕たちにとって、大学生活初めての4がけが行なわれたのでした。ここまできたら後はもう思いっきりラケットを振り回すっきゃない。

 試合はシーソーゲームのうちにファイナルヘと突入しました。ファイナルはこちらのサービスゲームでしたが、一本目は取ったものの、二本目、三本目と取られ、ボールカウント1-2と追い込まれてしまいました。ここで多嘉良君は、苦しまぎれにこう考えました。

「サービスエース3本取ったろ。」

 多嘉良君は神様にお祈りをし、絶叫しながら一本目。

「入れ〜!」

 残念ながらエースは取れなかったものの、レシーブがアウトとなって、2オール。これに味をしめた多嘉良君、さらに続けて絶叫サーブ第二弾。

「入れ〜!」

 残念ながらエースは取れなかったものの、レシーブがアウトとなってマッチポイント。最後のお祈りをきちんと済ませてから、調子に乗ってそれ行けターキー。レシーブネット。やった!と思いきや、くの字に曲がった副審の腕。(ちょっとぐらい、いいじゃない。意地悪)

 後は書くほどのこともないのですが、ちなみに3本連取され終わっちゃいました。こうして僕にとっては冗談のような優謄大会が幕を閉じたのでありました。

「多嘉良さん賞状が欲しかったろう。」と、とことんわがままな塚田君。

 リーグ戦の入れ替戦は、八月末日に行われ男子は近大呉にB-1で勝ち、念願の一部リーグ昇格を果したのでありました。女子も広文教にA-1で勝ち、一部リーグ残留を果たしました。めでたし。めでたし。