西日本学生軟式庭球選手権大会遠征記

教一 乗本尚子

 第三十五回西日本学生軟式庭球選手権大会は、鳥取からはるか遠く、九州は宮崎の地で七月二十・二十一(団)、二十二・二十三(個・ダブルス)、二十四(個・シングルス)日の日程で行なわれました。

 百七十九ペア参加した女子個人戦で、乗本・但田組はドローの五番目に書かれていました。二回勝って三回目には、第一シードの木庭・福田組(松蔭大)とあたるのです。インカレトップともいわれる人たちと、対戦できることなどめったにない。またとないチャンスだとも思いました。しかし反面、私はとても情けなかった。第一シードのすぐ下、パッキン同然ではないか。せめてもうすこし勝ち上がってから、あたれるのならともかくも……。

 対抗戦(団体戦)で惜敗した私たちは、せめて彼女たちにどれだけ食い下がれるか、それだけを目標に、個人戦を迎えた。

 一回戦、二回戦、ほぼパーフェクトに近い試合の後、またまたパーフェクトなみの6ポイントゲームで、またたく間に終わりの挨拶をした。一本クロスプレスがとおったとか、6ポイントのうち、4ポイントをまとめてとれば、一ゲーム取れたのにとか、冗談ですませたふりをしたけれど、受けたショックは大きく、実力の差を思い知らされたなどという、月並みの言葉では言い表わせられないものでした。それは、まるで段違い平行棒で、どこまで行っても交わることを知らない、気の遠くなるような思いでした。"井の中の蛙、大海を知らず"それは、まさに私のためにある言葉だと、実感しました。

 西日本の学生たちが集うこの大会で、団・個共に、大会一日目のほんの序の口で退く私たちは、その時点でもう選手ではなく、ギャラリーです。この大会に、試合観戦に来たのだと言っても、過言ではないと思いました。試合を見るのもなんとか、と言いますが、木庭・福田組との対戦を思うと、私は自分が虚しくなるばかりです。しかしうらはらに、彼女たちの熾烈な戦いを見て、"いつか私も"と、闘志が湧いてくるのを、抑え切れませんでした。