リーグ戦・優勝大会運営記

工三 石原章博

 今年のリーグ戦&優勝大会は、五月十四日より鳥取大学コートと千代コートに於て行なわれた。我々幹部は、今年こそは“一部に”という目標で挑んだ。男子の部は徳山大学が参加したので、二部Aと二部Bに別れ、AとBの一位で二部の優勝を決めることになった。

 初日は、あいにく午前中まで雨がぱらつき、試合中止と思われた。午後には、晴れ間ものぞくようになり、コート整備の後三時過ぎから始められた。鳥大は二部Bに属し、初戦福山大挙と対戦した。突然の試合開始に気の緩みも隠せない状態であったが、五対Oと軽く一勝した。ここで日没のため、リーグ戦一日目を終えた。

 翌日、下関市立大を問題にせず破った。岡山商科大戦においては、松山・近藤組が敗れたが影響はなかった。

 さて、入れ替え戦出場を賭ける相手は、やはり予想された通り、昨年一部降格となった広工大であった。

 まず、鳥大一番手、藤井・末次組。必勝を期して対戦したが、どうも自分たちのテニスができず、思わぬ敗戦。二番手、岸・加藤組も影響を受けたか、相手の一本に1-5で敗れ、鳥大は予想外の苦境にたたされた。

 三番手、日野・石原組。マイペースの試合運びで5-1と楽勝。四番手、松山・近藤組も貫ろくを見せ、危げなく5-1。

 ここで、リーグ戦最高の山場を迎え、我らがホープ高橋・高見組の登場である。入れ替え戦出場。一部昇格。いやがうえにも試合は盛り上がり、応援にも一層熱がこもる。しかし、この時高橋・高見組は、この重圧に耐え兼ねてか、今一歩調子を出し切れず波に乗れない様子であった。応援者を絶えずハラハラさせながろも、相手のミスを待つ耐えるテニスで、かろうじて勝ちを収めた。この瞬間我々鳥大は、念願の入れ替え戦出場のキップを手に入れたのである。

 女子は、これまで二年連続入れ替え戦出場(少しは男子と代わってほしい)という状態であったので、“今年こそは最下位脱出”が、最大の目標であった。

 初日、優勝候補筆頭の広大と対戦した。相手の気の緩みを突いてか、一番手乗本・但田組が勝利を収めたが、残念ながら後が続かず、一対二と敗退した。

 翌日の島大戦でも、乗本・但田組が健闘し後に望みを託したが、またも一対二と虚しく敗れた。

 最初の意気込みはどうしたのか、岡大戦では○対三で完敗。続く山大戦では、宮脇・中尾組が奮起したが、時既に遅く一対二で惜敗した。

 残るは全敗同士の岡県短との対戦のみである。入れ替え戦出場を免れるためにも、最後の力を振り絞って戦った。乗本・但田組の勝利のあと、瀬尾・田中組は調子の出ぬまま退き、三番手勝負となった。今大会最高の山場を迎えた。しかし、多大のプレッシャーのためか、持てる力を充分に発揮できぬうちに、鳥大女子は入れ替え戦出場のキップを手に入れたのであった。


 優勝大会編

 その日、日野選手は病気だった。今までにもちょいちょいこの発作を起こしたことがある。しかし、それが大会のときに起こるのはめずらしく、今回はぴったりと重なったらしい。個人戦のせいか気楽にのびのびとやって、今日は調子が良さそうだ。はじめは、誰もがそう考えていた。しかし、今日は違うぞと気付いたのは、五回戦8本がけの試合であった。

 今大会優勝候補筆頭、第三シードの河野・真玉組(広島大)がその相手であった。開き直りとでも言うのであろうか、日野選手はまさに、“芸術は爆発だあ”のごとく打ちまくった。ポーチに出た真玉選手は、ことごとくはじかれ、首をかしげていた。いいですか、あの日野選手が、あの真玉選手をはじくんですよ。後ろが大爆発で絶好調。前の石原君は、苦手だったスマッシュも、このときやっと満足に打てるようになり、案ずることなく、自由に振る舞うことができました。

 あれよあれよという間にゲームは進み、日野・石原組はいつも先功し、河野・真玉がそれを必死で追いかけるという、全くもって予想外の試合運びとなっていた。

 いつの間にかギャラリーも増え、声援の飛び交う中、迎えたマッチポイント。ゲームカウント3-1のボールカウント3-2(サービス・日野組)。クロス展開のラリー。この時石原君は、“くる!絶対にくる。河野は絶対にもってくる。”と思うが早いか、石原君の体はサイドへ向かっていた。白球が飛ぶ。“もらった”と思ったその瞬間、石原君はラケットを引いた。白球の後ろ姿を見送る。白いラインの外側に、ボールはワンバウンドした。がっくりと膝をつく河野選手。それを見た石原君は、勝利したことを知ったのであった。

 これで賞状も夢ではないと、希望に胸ふくらませた二人だったが、しかし、世間の風の冷たさを、その後身をもって認知したのでした。……前衛アタックなんてきらいだあ!……。

 その他、男子では中川・大沢組が第ニシードをとばすという、偉業(異業)をやってのけ、今後、鳥大軟庭部を受け継いでゆく、大きな戦力になりそうな、明るい兆しをみせてくれた。女子では、宮脇・但田組が16本入りしたのみであった。

 この大会で石原君は、めざましい成長を遂げ、大きな自信を得たのでした。


P・S

 入れ替え戦では、女子は二対○で広修大に勝ち、一部残留を果たしたが、男子は近大呉に、○対三という思わぬ敗戦となり、念願の一部昇格はならなかった。来期は、必ず一部にのし上がってくれることを望む。

(リーグ戦、入れ替え戦とも、点取りでした。)