三地区大会遠征記

教三 宮脇明子

 今年の三地区大会は、四月二十五日より松山で開催されました。

 今回は、国鉄のストと重なることを予想して、初めてバスを一台借り切って遠征に行くことになったのです。

 さて、出発の当日。集合時間がなんと朝の四時だったので、眠い目をこすりながら大学の正門へと足を運んだのでした。早朝の風は私の頬をすり抜けて、心にすがすがしさを呼び起こします。さあ、これからバスに乗り込もうという時でした。このような時間(もちろんあたりはまっ暗です)にもかかわらず、田村さんがわぎわぎ差し入れを持って、見送りに釆てくださったのです。

 「こうして見送ってくださる人達のためにも、悔いの残らない試合をしなければ……」

 窓の外では、透き通った空に星がまたたいていました。

 まずは団体戦。試合会場が三か所に分かれており、私たち女子Bチームだけが松商大の御幸コートで行われることになりました。初戦で私達の相手となるべきチームが棄権していたため、しばらくの間試合がありませんでした。さて、オーダーを提出し、いよいよ試合です。相手は熊本大Gチーム。かなり緊張しながらも、結果は2-Oで勝つことができました。次は比治山Bチームと対戦し、O-2であっけなく惨敗してしまいました。

 熊大戦では、相手が先にミスしてくれたので楽に勝つことができたのですが、この試合では、逆に私達が先にミスして相手に楽をさせてしまう結果になってしまったのです。瀬尾・田中組も宮脇・但田組も、今まで練習してきたことの半分の力も出すことができなかったと思います。応援がなくて寂しいなどと泣きごとを言ったりしましたが、相手のペースにはまったまま流れを変えることができないという、私達の精神的な弱さ、脆さがそのまま出てしまった試合でした。

 個人戦では、団体戦の時とは打って変わって、リラックスして試合をすることができました。もう悔いの残るような試合はしたくないと思い続けたからでしょうか。それに、今度は後ろの応援もあったし……。この時は、とにかく足を使ってどんなボールでも打ち返してやるという意気込みで望みました。すると、不安に押しつぷされることもなく無我夢中のうちに、二回戦、三回戦、四回戦を勝ち進むことができました。これで、第ニシードの今村・敷田組(福岡大)と当たることができるのです。

 この試合は、翌日行われました。私と但田さんは、とにかく1ゲーム取ることを目標に全力でぶつかろうと誓い合い、試合が行われるコートで対戦相手が姿を見せるのを待っていました。やがて二人がコートに現われ、試合が開始されました。さすがに第ニシードだけあって、ボールの威力が今までの相手とは全く違うのです。あっという間にーゲームを取られ、気がついてみるとゲームカウント0-3となっていました。ベンチに戻った時に、

「ロブでいいから深いボールを返して、相手のミスをさそえ」

 とアドバイスされ、私も次のーゲームは徹底的につないでいくことに決めました。すると、相手は勝ちをあせったのか、2ポイント統けてミスをしてくれたのです。さらに、但田さんがフォアボレーを決め、ようやく念願の1ゲームを取ることができました。しかし、喜んだのもつかの間。結局、ゲームカウント1-4でゲームセットとなりました。

 この大会を終えて感じたことは、試合になったら技術より精神力だということです。後衛であれば、とにかくボールだけに集中して最後まで続けることです。精神力というのは自信につながるものであると思います。この自信は、やはり練習することによってしか得ることができません。

 そこでみなさん、来シーズン目指して、また自分のテニスを見つけるために頑張りましよう。