考えあぐねたすえ

工一 深田哲司

 いよいよ明日がアゴラの原稿締め切り日である。ああ、何を書こうかな。女の子のことでも書こうかな。でも、読む人がかわいそうだからやめておこ。なに!それじゃあ遠征の時の事を書こうかな。でも、他の人が書いているのじゃあないかな。ほんじゃまあやめとくか。パチンコ、麻雀は?僕なんかより、もっともっとうまい人がいるからやめとこ。なんや、書くものがなくなってしまっちゃったな。やめるかな。

 いかん!それはいかん!締め切り日までに全員が原稿を出してくれるというアゴラ編集委員長の期待を裏切ることは、我々に対する不信感を抱くばかりか、ひいてはクラブ全体に不信感がわいてくるという委員長の発言通りだと思うので、僕の良心が許さない。ましてや、アゴラとはクラブ員全員がつくるものであるから、締め切り日までに全員が書いて出すのが当然のことなのである。

 そうなのよと、まあ自分に言い聞かせたものの、実際、何を書こうかな。十月の末に松山で行なわれた、中四国大会の三つの思い出を書こうか。

 一つは、勿論我ペアの試合についてである。団体戦は、安定したフォームで確実に返してくる高知大Aチームにあっさりと敗けてしまった。

 個人戦は、一回戦、下市大とであった。一セット、ニセット、三セットと、順調にとっていった。四セット目はとられたものの、五セット目のとき、あと一球というところまできたとき、勝って下さいと言わんばかりの球が僕のところへやってきた。勝ちをあせった(勿論、まだまだへただということもあるけれど)僕は、ミスをしでかし結局はこのセットとられてしまった。最初はこちらのぺースで試合を運んでいたのに、五セット目をとられたという精神的ショック!が大きく、向こうのぺースにはまってしまっていった。

 そして、ついにファイナルまでもちこまれ、三‐一とマッチをとられてしまった。はるぱる松山まできたのに一勝あげずに帰ってなるものか。まして三‐〇と取りながら敗けたなどと人に話せようか。(勝ったからこそ書ける言葉である)我々は気分をとりなおし、ジュースまでもち込み、そして最後、相手のエラーをさそって勝ちを得たのである。皆さん、何事においてもあと一歩というところであせってはだめですよ。ほんとほんと。

 第二は、やはり鳥大Aチームの優勝である。僕等は個人戦と重なり、又会場が違っていたため準決勝まで応援ができなかったけど、優勝戦をやっていると聞くと、個人戦もそこそこに(勝ちたいし、優勝戦を応接したいし、この板ばさみで結局敗けてしまった。いい言い分けでしょう。)タクシーを飛ばして会場へかけつけたのである。、まにあった。岡大と熱戦の真最中である。優勝!!この感激を味わうことができただけでも松山へ来たかいがあったように、今思うのです。

 第三は、帰りの自由時間である。三年生の人達(北脇さん、山根さん、水崎さんの三人)について道後温泉に出かけることになった。市電に乗るとそんなに時間はかからなかった。鳥取なんかの温泉にくらべるとやはり大きく繁やかである。

 街を一廻りしたあと、ビールを飲みながら話をしていると、松山城へ行ってみようということがもちあがり行くことになった。みんないい気持で暗い山道を登って行った。頂上には、みごとな天守閣がライトに照らし出されていた。そこで我々は今日の優勝を思いながら掛け声をあげた。「鳥大ファイト!ファイト!ファイト!」と。この時の爽快さは、なんともいえなかった。ただ、アペックの人がびっくりしたんじゃあないかな。せっかく静かなところをえらんできたのに。悪カッタ!

 山を降り、駅で皆と一緒になり夜行列車で鳥取へと帰って来た。鳥大は遠征するためにはよく夜行列車を使うので、皆さん、徹マンをすることによってきたえておきましょう!一言多かったみたい。