優勝大会

農四 前田豊秋

 大学四年間のうち、一度は優勝という感激を味わってみたいと思っていたが、ついに念願の優勝を勝ち取ることができた。過去二年、三年と、広大・岡大の厚い壁に何度もはね返されてきただけに、この優勝は一生忘れられない思い出となるであろう。

 今年は広大、岡大などの主力選手が数多く抜けたこともあり、どこの大学が優勝するかまったく見当がつかず、いわば戦国時代とでもいうような状態であった。それだけに各大学とも、今年こそはとねらっていたことだろう。そういった意味で今年最初の大会で勝つことはその後の大会に及ぼす影響が非常に大きい様に思われた。

 しかし山陰の春は遅く三月の下旬まで雪が降り練習も思う様にできなかった。僕自身も個人的理由から何かといそがしく練習する機会をなかなかみつけることができなかった。又、僕らのペアは鳥取と米子に離れぱなれで、お互いに練習することも非常に困難で、わずかに試合の二日前に加藤・三代組に練習の相手をしてもらったのみであった。この様な状態であったのでどうなるものかと内心ややあせり気味であったが、Aチームの一員である以上なんとしても勝たねばならない、最後まで試合を捨てずに頑張れぱ勝機も開けるだろうと決意して試合に臨むことにした。

 Aチームのメンバーは中村・大場組、加藤・三代組、そして前田・高橋組であった。第一回戦は難なく勝ち、二回戦広工大Cと対戦することになった。広工大Cは若手中心で固めており一たび波に乗れば恐しいので試合前、絶対に3-Oのストレートで勝とうと話し合った。

 トップに出た中村・大場組は楽勝し、二番手の加藤・三代組は広工大Cの大将ペアと当り苦戦をしたが自分のペースを最後まで守りファイナルジュースの末に粘り勝ち。この一勝は大きかった。三番手に前田・高橋組が出たが相手のミスが多くて楽勝し結局3-0のストレートで勝つことができた。この試合を前半戦最大のヤマ場だと話し合っていてこれに勝てぱあとは調子に乗っていけるだろうと思っていたので、この勝利は大きかったと思う。

 三回戦は広大Dと対戦したが、これも難なくストレートで勝つことができた。

 準決勝の対戦相手は、過去いつも苦い目に合わされたことのある広大Aである。今年は若本・石井組、渡部・佐藤組がいないとはいえ三ペアともそろっている。しかし今年はどうしても勝ちたい。勝たねばならないと思った。

 まずトップに出た中村・大場組は自分達のぺースを見失い負けてしまった。二番手の加藤・三代組も同じ様に負けてしまった。向こうは三ペア、我々は僕ら一ペアのみになってしまったが一ペアずつぶつかっていくことにした。二次戦でマッチポイントを握られたが何とかこれをのがれてやっとファイナルで勝ち、三次戦は4-0のストレートで勝つことができた。これで決勝進出が決定した。

 決勝戦の相手は広商大Aチームである。ここまできたらもう絶対優勝したかった。相手も久し振りの決勝進出であるから条件は同じである。僕らのペアは試合を重ねるごとに調子があがってきたようでった。

 まず一番手、二番手に加藤・三代組、中村・大場組が出たが共に調子が出ぬうちに負けてしまった。又もや残るは我々一ペアになってしまったが、準決勝の時と同様に一ペア、一ペア相手にぶつかっていくしかないと思うとかえって気楽になった。

 一次戦、二次戦と比較的楽に相手を倒し、いよいよ三次戦目である。相手は大将ペアの堀川・片山組である。相手はさすがに強い、互いにサーピスキープで進み3-3のファイナルになった。最初にマッチポイントを取られたが慎重にサーブを入れ何とかこれをのがれてジュースに持ちこんだ。何度かのジュースの応酬のあとこちらがマッチを握った。ここで相手前衛のフォアに思いきりファーストサーブを入れると相手はレシーブを口ブでオーバーしてきたので、相手前衛がクロスに飛びだすのをまってストレートに抜くとこれがライン上に落ちてゲームセット。これでついに宿願の優勝を果すことができた。

 一回戦から決勝戦までの試合、戦い勝ち抜いて優勝することができ本当にうれしく満足感で一ぱいであった。また、この優勝は中選三連勝当時以来十年振りの優勝であり、又、ともすれぱ過去、広大、岡大などの山陽勢に押され勝ちであった山陰勢の劣勢を吹き飛ぱした感じがした。そういった意味もあって本当にうれしくて仕方がなかった。